年を重ねるとテクノロジーにネガティブになるのはなぜ?
~「ダグラス・アダムズの法則」に学ぶ、未来との賢い付き合い方
みなさんは、「ダグラス・アダムズの法則」という言葉を聞いたことがありますか?
この法則は、SF小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』の著者であり、イギリスのユーモア作家でもあるダグラス・アダムズ氏が提唱した、ちょっと風変わりだけど深くうなずいてしまう“人生の真理”のひとつです。
科学的な根拠があるわけではありません。でも、一度聞くと「…ああ、わかるかも」と妙に納得してしまう。
そんな不思議な説が、こちらです。
■ ダグラス・アダムズの法則
- 自分が生まれたときにすでに存在していたテクノロジーは、「自然の一部」と感じる
- 15歳から35歳の間に登場したテクノロジーは、「革新的でワクワクするもの」と感じる
- 35歳以降に登場したテクノロジーは、「不自然で受け入れがたいもの」と感じる

…どうでしょう?
ちょっと笑ってしまうけれど、「これ、自分のことだ!」と感じた人も多いのではないでしょうか。
「なんだか抵抗がある…」その感覚は、あなたのせいじゃない
もちろん、35歳を過ぎても最新テクノロジーに胸を躍らせる人はたくさんいます。
けれど、多くの人が年齢を重ねるにつれて、新しい技術に対してどこか「抵抗感」や「理解の壁」のようなものを感じるようになるのも事実です。
その背景には、脳や心の仕組みが関係しています。
- 🧠 脳科学的には、年齢とともに「新しいパターンを学ぶ能力」が少しずつ衰える
- 💭 心理学的には、「現状を維持したい」というバイアス(=保守的傾向)が強まる
つまり、新しい技術に「戸惑う」「拒否したくなる」というのは、自然な人間の反応でもあるのです。
思い返せば、90年代にインターネットが普及し始めたとき、多くの大人が言っていました。
「そんなの、新聞と電話があれば十分だ」
スマホが出た2007年も同じでした。
「電話とメールができればそれでいい」
…でも今ではどうでしょう?
その頃「不要」と言われていたテクノロジーが、私たちの生活の中心にあるのです。
未来の技術を「拒む側」になる日が、いつかやってくる
今、このブログを読んでくださっているあなたは、おそらく新しい技術に前向きなタイプでしょう。
プログラミングやAI、デジタル工作に興味を持ち、スイッチオンラボで学んでいる方なら、きっと好奇心旺盛な方のはず。
でも――
「その日」は、誰にでもやってきます。
- 「え、もうこのアプリ使えないの?」
- 「なんか難しそうで触る気にならない」
- 「最近の若い子は何やってるのかさっぱりわからない」
そんなふうに感じる瞬間が、いつか必ず訪れます。
そしてそのとき、私たちは気づくのです。
「あ、自分も“拒否する側”になっている」と。
大事なのは「興味を持ち続ける姿勢」
でも、そんなときこそ思い出したいのが、ダグラス・アダムズの法則。
「自分が年を取ったから」ではなく、「これは誰でも通る道」だと知っているだけで、ちょっと心がラクになります。
そのうえで大切なのが、『理解しようとする姿勢”』を忘れないこと。
「これは便利そうだな」
「若い世代はこれで何をしようとしているんだろう?」
そんなふうに、新しい技術に対して“問い”を持つ姿勢があれば、きっとそれはあなたの強みになります。
テクノロジーと距離を置く、という選択も“アリ”
もちろん、すべてを理解し、受け入れる必要はありません。
人生経験を重ねた私たちだからこそ、テクノロジーのリスクや限界にも気づくことができます。
SNSの便利さと、その陰にある誹謗中傷の問題。
AIの効率性と、人間らしさを奪う危険性。
メタバースの楽しさと、リアルなつながりの希薄さ。
どれも、若い世代だけでは気づけないことです。
だからこそ私たち大人は、「ただ受け入れる」のでもなく、「ただ否定する」のでもない、ちょうどいい距離感を持つことが求められているのかもしれません。
テクノロジーと未来に対して、誠実でいよう
もしかしたら、5年後にはAIが思考し、10年後には身体の一部にチップを埋め込むような世界がやってくるかもしれません。
そのとき、私たちが「それはちょっと…」と戸惑うのは、当たり前のことです。
でもそこで立ち止まらず、「そういえば自分も、かつて親世代の“抵抗”を不思議に思っていたな」と、少しだけ柔らかい気持ちで未来を眺めてみてください。
そして、子どもたちや若者たちに問いかけてみましょう。
「それって、何が面白いの?」「どうやって使ってるの?」
そこから、新しい視点がきっと開けるはずです。
まとめ
私たちは誰しも、いつか“未来についていけなくなる瞬間”を迎えます。
それを恥じる必要はまったくありません。
むしろ、そのときこそ大切なのは――
「拒否する」のではなく、「向き合うこと」
新しい技術に興味を持ち、学び、対話し、時に距離を取りながらも、未来と“つながり続ける”。
そんな柔軟な姿勢を持つことが、これからの時代を生きるうえで、もっとも人間らしい賢さなのかもしれません。
そしてその第一歩は、
「年を取るとテクノロジーに保守的になるのも自然なことなんだ」と、認めること。
ダグラス・アダムズの法則を胸に、私たち大人も未来との付き合い方をアップデートしていきましょう。